映画素人の映画評論

「Amazonプライムビデオで映画を観たいけど何を観たらいいか分からない」という方のために、実際にAmazonプライムで観た映画を評論していきたいと思います。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

#13『きさらぎ駅』

『きさらぎ駅』

・あらすじ

本作は匿名掲示2ちゃんねる発祥の都市伝説「きさらぎ駅」を題材にした映画である。
大学生の堤春奈(恒松祐里)は大学の卒業論文のテーマとして選んだ「神隠し」を追及していくうちに、2004年に行方不明となりそれから7年後の2011年に見つかるまで異世界にいたと主張する元高校教諭の葉山純子(佐藤江梨子)の存在を知る。
純子いわく勤務先である高校からの帰りに家路につくため、新浜松駅から23:40発の電車に乗ったところ、気が付いたら電車の外には見たこともない風景が広がっており、やがて聞いたこともない「きさらぎ駅」という駅に到着したというのである。
一聴すると眉唾物のようにも聞こえる話であるが、そんな話に興味を持った春奈は純子の所在地を探し当て取材をさせてもらうことになった。
純子から話を聞いていくうちに、異世界に行くための条件があるのではないかと気づいた春奈は取材の帰りにその方法を実践してみることにする。
半信半疑で電車に乗った春奈だったが、ふと気が付くと目の前には純子が語っていたような景色が広がり、やがて春奈の乗った電車はとある駅に到着する。
電車が停車した駅の看板にはこう記されていた。「きさらぎ駅」と。
果たして春奈は迫りくる様々な恐怖から逃れ、無事に異世界から脱出することが出来るのであろうか。

・内容は本家とは別物

本作は匿名掲示2ちゃんねるにて建てられたスレッドをもとに作られた映画であるが、内容は本家とは大きく異なっている。
そもそも2ちゃんねるに書き込まれた内容は、はすみという投稿人が一人で異世界に迷い込んでしまったのに対して、本作では純子の他にガラの悪い3人の若者(岸翔太・飯田大輔・松井美紀)、酔っ払いのサラリーマン(花村貴史)、純子の勤める高校に通う女子高生(宮崎明日香)の5人が一緒に「きさらぎ駅」を降りることになるのだ。
そして純子を含めた6人で行動を共にしていくという流れになっている。
とはいえ、「きさらぎ駅」に着く前に通過した伊佐貫トンネル、線路を歩いている彼女らに対して「おーい危ないから線路の上を歩いちゃダメだよ」と注意してくるおじいさん、伊佐貫トンネルを渡り終えた先に現れ車に乗せてくれるという親切なおじさんなど、本家と同じシーンもところどころに見受けられる。

・人間のいやしい部分が垣間見える

純子は自身の勤める高校の生徒である宮崎明日香を助けることが出来なかったことをとても悔やんでいる。
出来ることであれば今でも彼女を見つけ出して助けてあげたいと思っているのだが、あの後何度も同じ電車に乗っても二度と「きさらぎ駅」にたどり着くことが出来なかったという。
そんな話を聞いた主人公の春奈は自身の論文のためと明日香を助けるために「きさらぎ駅」へ行こうと決心するのだが、本作のラストを観て人間のいやしい部分が見えてしまったようで鬱々としてしまった。
あまり述べてしまうとネタバレになってしまうため詳細については語らないが、それぞれの人間の思惑が交差して少し期待を裏切られてしまったというのが正直な感想である。
そういう意味では視聴者の期待を上手く裏切るという構成はとても素晴らしかったと思う。

・おすすめ度

★★★☆☆(3点/5点満点中)

ラストのどんでん返しはいかにもホラー映画といった感じでよかったのだが、全体的に映像がチープな感じがして見づらかった。
夜という設定なのだが、明らかに昼間に撮影して暗いエフェクト付けてるだけでしょっていうところとか、なぜだかカメラの視点が純子目線になっているため観ていて酔いそうになったりとか、いかにも低予算で作りました感が否めなかったのが残念である。

・スタッフ・キャスト

【監督】

永江二郎

【脚本】

宮本武史

【キャスト】

堤春奈:恒松祐里
宮崎明日香:本田望結
葉山純子:佐藤江梨子
松井美紀:莉子
飯田大輔:寺坂頼我
岸翔太:木原瑠生
花村貴史:芹澤興人
葉山凛:瀧七海
大園葵:堰沢結衣