映画素人の映画評論

「Amazonプライムビデオで映画を観たいけど何を観たらいいか分からない」という方のために、実際にAmazonプライムで観た映画を評論していきたいと思います。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

#14『バーン・アフター・リーディング』

バーン・アフター・リーディング

・あらすじ

仕事上で自分のポジションを奪われたオズボーン・コックス(ジョン・マルコヴィッチ)はその場で上司とケンカをし、長年勤めていたCIAを勢いで辞めてしまう。
勢い余って仕事を失ってしまったオズボーンは新たな収入を得るために自伝を書きだすのだが、彼との離婚を考えている妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)によってその内容が記録されたCD-Rを持ち出された挙句紛失してしまう。
一方スポーツジムに勤めるリンダ・リツキ(フランシス・マクドーマンド)は、全身整形を行うための費用をどうやって捻出するか悩んでいた。
そんな中、彼女の職場であるスポーツジムのロッカーにて同僚のマノロが落とし物を見つけるのだが、これがまさしくオズボーンの自伝の下書きが記録されたCD-Rなのである。
そうとも知らずに同僚のチャド(ブラッド・ピット)たちと中身を確認したリンダは、書かれた内容からCIAの機密情報であると勘違いをし、それをネタに持ち主のオズボーンをゆすって金銭を脅し取ろうと企てる。
この勘違いから生まれた恐喝事件は、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか。

・監督はコーエン兄弟

本作を手掛けたのは、「赤ちゃん泥棒」・「バートン・フィンク」・「ファーゴ」・「ビッグ・リボウスキ」など数々の名作を生み出してきたジョエル・コーエンイーサン・コーエンからなるコーエン兄弟である。
特に「バートン・フィンク」はカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した超名作であり、彼らの名前を世界中に知らしめた作品であると言っても過言ではない。
かくいう筆者もコーエン兄弟監督の大ファンであり、本作を観るのも非常に楽しみであった。

・チャドのキャラは最高に面白い

ブラッド・ピットが演じたチャドのキャラクターは個人的にものすごくはまった。
たとえば、リンダたちと一緒にCD-Rの中身を確認した際に、内容を見てCIAの機密情報だと勝手に決めつけるのだが、「日付に数字、また日付に数字・・・、これ相当やべえよ」と、「お前絶対に意味も分からず言ってるだろ」とツッコみたくなるようなことを言ったり、緊張感のある場面でも音楽を聴きながら変な踊りを踊ったりと、めちゃくちゃいいキャラしているなと思った。
そこらへんはコーエン兄弟らしいユーモアさがあって良かったなと思う。

・期待はずれ感は否めない

コーエン兄弟の大ファンである筆者だが、本作を観た感想はと言うと「うーん・・・」といった感じである。
本当にコーエン兄弟が監督と脚本を務めたのかと疑ってしまうような出来であり、少々がっかりしてしまった。
ところどころでコーエン兄弟らしいコメディ要素もあったため、途中少しは楽しめたのだが、やっぱりちょっと物足りないなと感じてしまう。
ひょっとするとコーエン兄弟だと思わないで観たら、もう少し楽しいと感じたのかもしれないが、初めから「コーエン兄弟の作品だ」と構えて観てしまったため、期待値がものすごく上がってしまったのであろう。

・おすすめ度

★★★☆☆(3点/5点満点中)

小さなことの積み重ねで物事がどんどんと複雑になっていくという様を描きたかったのかもしれないが、そこまでのめり込んで観ることが出来なかった。
ブラッド・ピットジョージ・クルーニージョン・マルコヴィッチなど、超大物スターが共演していたにもかかわらず、何か物足りなさを感じさせてしまう出来にはもったいなさを感じてしまう。
コーエン兄弟の他の作品は文句なく素晴らしいものばかりなので、この作品が彼らの黒歴史となってしまわないことを願っている。

・スタッフ・キャスト

【監督・脚本】

ジョエルコーエン・イーサンコーエン

【キャスト】

ハリー・ファラー:ジョージ・クルーニー
チャド・フェルドハイマー:ブラッド・ピット
オズボーン・コックス:ジョン・マルコヴィッチ
リンダ:リツキ:フランシス・マクドーマンド
ケイティ・コックス:ティルダ・スウィントン
サンディ・ファラー:エリザベス・マーベル
テッド:リチャード・ジェンキンス
CIA上官:J・K・シモンズ