映画素人の映画評論

「Amazonプライムビデオで映画を観たいけど何を観たらいいか分からない」という方のために、実際にAmazonプライムで観た映画を評論していきたいと思います。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

#12『ファイティン!』

『ファイティン!』

・あらすじ

幼いころにアメリカに養子に出された韓国人のマーク(マ・ドンソク)は、持ち前の腕っぷしを武器にアームレスリング(腕相撲)のチャンピオンを目指すという過去を持っていたのだが、腕相撲協会を除名されてからはクラブの用心棒を務める毎日を送っていた。
そんなある日、マークは自分のことを「兄貴」と慕うジンギ(クォン・ユル)の口車に乗せられて、韓国へ渡り再び腕相撲の世界に身を置くことになる。
久久に生まれ故郷である韓国に戻ってきたマークは、実の母親に会うため自身の生家に行くのだが、そこで妹のスジン(ハン・イェリ)・甥っ子のジュニョン(チェ・スンフン)・姪っ子のジュニ(オク・イェリン)と出会い、成り行きで彼女らと一緒に暮らすことになるのである。
初めて出会う家族という存在に喜びを感じながら、韓国で腕相撲を再び始めたマークは、果たして大会でチャンピオンになることが出来るのであろうか。

・主演はマ・ドンソク

主演のマークを演じるのは、筆者が個人的に大好きな俳優マ・ドンソクである。
彼の存在は初めて知ったのは「スタートアップ!」という映画であり、そこで筆者はものすごい衝撃を受けた。
「韓国にはこんなにすごい俳優がいるんだ」というのが彼を初めて観たときの感想なのだが、とにかく存在感がものすごいのである。
中途半端なロン毛とだらしなく太った体系をしたおっさんが威圧感たっぷりで中華鍋を振っている姿は一瞬ぎょっとするのだが、すぐに慣れ親しんでいき最終的にはそんな彼に心を奪われているのだからとても不思議だ。
このような俳優は日本にはなかなかいないのではないだろうかと思う。
とにかくそんなマ・ドンソクに心を奪われた筆者は、Amazonプライムビデオで観られる彼の作品はほとんど観尽くしたのである。

・アームレスリング(腕相撲)というあまりなじみのない競技

本作においてスポットライトが当てられているアームレスリング(腕相撲)であるが、正直言ってあんまりピンとこないという人も多いのではないだろうか。
友達との力比べで遊びとしてやった経験がある人は多いかもしれないが、実際に競技として公式に行われている大会に出場したことがあるという人はもちろん、そのような大会を観覧したことがあるという人も少ないのではないかと思う。
実際に作中においてジンギが「誰も腕相撲なんか見ていない」というセリフを発しているくらいなので、認知度はかなり低いものであるということが見て取れる。
「いや、それお前が言うなよ」と心の中でツッコミを入れたくなってしまったが、そんなジンギの心無いセリフにも負けずに、ひたすらにチャンピオンを目指すマークの姿には感銘を受けたという人も多いのではないだろうか。
これは余談であるが、これほどまでに腕相撲が似合う俳優はマ・ドンソク以外に見当たらないと思えるほど、彼は役にピッタリとはまっていたと個人的に思うのであった。

・お決まりのパターン

マ・ドンソクが出演する映画では時折、彼を慕う弟分的な存在が純粋無垢な彼を上手く言いくるめてどんどんと悪い方向に向かって行ってしまうというパターンがあるのだが、本作もまさにそのようなパターンではないだろうか。
父親が多額の借金を背負っているジンギが、兄貴的な存在であるマークを上手く口車に乗せて違法賭博の選手として出場させることから始まるのだが、そのスポンサーとして声をかけた相手が厄介者であり、彼らは次第に追い詰められていってしまうというストーリーである。
しかしスポーツ競技がメインテーマということもあり、本作は他の映画に比べてそこまで荒々しいシーンがなかったのが印象的であった。
たいていぶちぎれたマ・ドンソクが相手のところに乗り込んでいき、何十人といる敵をボコボコにしていくというのがお決まりのパターンなのであるが、そこまでの乱闘シーンがなかったため、そういう意味では少し安心して観ることが出来たのではないかと言える。
まあおそらく因縁の決着は試合で着けようという、スポーツマンシップに則った考えなのであろう。

・おすすめ度

★★★★☆(4点/5点満点中)

筆者の願いとしてはとにかくマ・ドンソクという俳優がいかに素晴らしいかを知ってもらいたい。
彼の出演作品を観てもらうと分かるのだが、「見た目は怖いけどどこか憎めない」という印象を持つ人も多いのではないかと思う。
本作ではまさに彼の得意分野であるともいえる腕っぷし自慢が題材とされているので、より一層彼の良さが分かるのではないだろうか。
観はじめる前は正直「腕相撲を題材にした映画?ちょっと微妙だな・・・」などと思っていたのだが、最後には感動して涙を抑えるのに必死だった。
それほど自信を持っておすすめできる映画であるので、マ・ドンソクを知らないという方もぜひ試しに観てみてほしいと思う。

・スタッフ・キャスト

【監督・脚本】

キム・ヨンワン

【キャスト】

マーク:マ・ドンソク
ジンギ:クォン・ユル
スジン:ハン・イェル
ジュニョン:チェ・スンフン
ジュニ:オク・イェリン
コンボ:カン・シニョ
ユ・チャンス:ヤン・ヒョンミン
パンチ:イ・ギュホ