映画素人の映画評論

「Amazonプライムビデオで映画を観たいけど何を観たらいいか分からない」という方のために、実際にAmazonプライムで観た映画を評論していきたいと思います。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

#4『深呼吸の必要』

・あらすじ

沖縄でサトウキビを刈る仕事「キビ刈り隊」に応募した立花ひとみ(香里奈)。
フェリーに乗って目的地に着いた彼女は、同様にキビ刈り隊としてやってきた他のメンバーと共に迎えを待っていると、軽トラに乗った田所豊(大森南朋)が迎えに来る。
そして言われるがまま全員軽トラの荷台に乗り込むと、車は目的地であるおじいとおばあの家に到着する。
優しいおじいとおばあに出迎えられ、翌日から始まる仕事のことについて説明を受ける彼女たちは厳しい条件に少し戸惑いを見せるのだが、果たして無事に仕事をこなすことが出来るのだろうか。

・沖縄が舞台

何を隠そう沖縄が大好きな筆者は、3度の飯より沖縄映画が大好きである。
本作も沖縄を舞台にしており、沖縄フリークとしてはマストウォッチタイトル(英語間違えてたらすいません・・・)であろうと考え、ひとまずややこしいことは一切考えずに観てみることにした。
その結果大当たりである。
沖縄というアドバンテージを抜きにしても、登場人物たちそれぞれのキャラクター、ストーリー、雰囲気は個人的におもしろいなと感じた。

・個性豊かな「キビ刈り隊」

普段は派遣で生計を立てており今回長期休みを取って沖縄にやってきたひとみ、やたら先輩面をし偉そうにあれこれとうるさく口出ししてくる豊、礼儀正しく和を乱すようなことはしない真面目な最年長の池永(谷原章介)、口うるさい豊に対して反抗的で他人には知られたくない過去を隠し持っている西村(成宮寛貴)、長いつけ爪を着けたり豊のことを「おっさん」と呼ぶなどギャル全開キャラの悦子(金子さやか)、他人とのかかわりを極端に避け誰とも口をきこうとしない高校生の加奈子(長澤まさみ)など、キビ刈り隊としてやってきたのは個性豊かなメンバーばかり。
そんなクセの強いメンバーで力を合わせ、果ての見えないサトウキビを納期までにすべて刈り取らないといけないのだが、なかなか一筋縄でいくはずもなく、いくつもの困難を乗り越えていかないといけない羽目になっていく。
まあどんなストーリーであれ、映画である以上は必ず何かしらの事件や問題はつきものであって、それに対して主人公たちが立ち向かっていくというのは当然の流れだよね。

・いかにも沖縄らしいおじいとおばあ

今回印象に残ったのが、そんな個性豊かなキビ刈り隊を優しく出迎えてくれたおじいとおばあの存在である。
反抗的で文句ばかり言う西村や悦子、無口で誰ともしゃべろうとしない加奈子など、いわゆる問題児といわれるようなメンバーに対しても、おじいとおばあは沖縄独特のイントネーションで優しく話しかけてくれるのだ。
たとえ何か問題が起こったとしても「なんくるないさー」と言って、決して責めるようなことはしないおじいや、みんなのために毎日美味しい料理をふるまってくれ「たくさん食べてね」と言ってくれるおばあは、キビ刈り隊たちのことをまるで本当の孫のようにかわいがってくれているのが見てわかる。
沖縄に旅行に行ったらホテルに泊まるのではなく、このようなおじいとおばあが経営しているような民宿に泊まって、おじいとおばあの優しさに触れてみるのもいいのではないかと思った。

・評価

★★★★☆(4点/5点満点中)

ひたすらサトウキビを刈り続けるという内容のため、沖縄好きの筆者的にはもう少し沖縄を感じられる描写がほしかったなというのが正直な感想である。
しかし、個性豊かなメンバーたちが優しいおじい・おばあとともに一つ屋根の下で暮らしていくうちにだんだんと距離が近くなっていき、みんなが一つの目標に向かって本気で取り組む姿というのは、観ていて心がほっこりした。
沖縄が好きな人はもちろんだが、そうでない人でも十分楽しめる内容になっていると思うので、興味がある人はぜひ観てみてほしい。
またこれは余談であるが、基本的にエンドロールは飛ばす派の筆者であるが、エンディングの曲がとても良く、聞き入っていたらいつの間にかエンドロールをすべて見終わっていた。
My Little Loverの「深呼吸の必要」という曲らしいのだが、気になる方がいたらぜひエンドロールも楽しみにしていてほしい。

・スタッフ・キャスト

【監督】

篠原哲雄

【脚本】

長谷川康夫

【音楽】

小林武史

【キャスト】

立花ひなみ:香里奈
田所豊;大森南朋
池永修一:谷原章介
西村大輔:成宮寛貴
川野悦子:金子さやか
土居加奈子:長澤まさみ
辻元美鈴:久遠さやか
おじい:北村三郎
おばあ:吉田妙子
飲み屋の店長:上地雄輔