映画素人の映画評論

「Amazonプライムビデオで映画を観たいけど何を観たらいいか分からない」という方のために、実際にAmazonプライムで観た映画を評論していきたいと思います。ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

#8『パーム・スプリングス』


『パーム・スプリングス』

・あらすじ

アメリカ合衆国カリフォルニア州の南部に位置するパーム・スプリングスにて、とあるカップルの結婚式が行われた。
その結婚式に参加していたナイルズ(アンディ・サムバーグ)は、新婦の姉として同じく参加していたサラ(クリスティン・ミリオティ)を口説き、いい感じの仲になることに成功した。
人気のない岩場にてロマンティックなムードになっていると、突然謎の老人ロイ(J・K・シモンズ)が現れボーガンでナイルズを撃ち殺そうとする。
ロイから逃げようと洞窟に入っていくナイルズを追いかけるサラに対して、ナイルズは「ついてくるな」と追い返そうとするが、状況が飲み込めない彼女は聞く耳を持たず、彼のいる洞窟の奥地までやってくると、謎の赤い光に包み込まれてしまう。
気が付くとサラはベッドの上で寝ており、起きてみると何かがおかしいことに気づく。
なんと彼女は結婚式当日の朝に戻っていたのだ。
ナイルズを問い詰めると、あの洞窟で赤い光に包み込まれたせいで、彼は何度も今日という一日を繰り返す、いわゆるタイムループをしているということが分かる。
果たして彼らはタイムループを抜け出し、無事に明日という日を迎えることが出来るのだろうか。

・寝てもダメ、死んでもダメ

大体どのタイムループ作品にも共通して言えるのが、寝てもダメ・死んでもダメということである。
寝て起きたらまた同じ日に戻っていたというのであれば、まだ何となく理解できそうなものであるが、死んでもまた同じ日に戻ってしまうというのがよく分からない。
死んだらもうそれで解放してあげなよとつい思ってしまうのだが、そんな私の願いもむなしく起きたらまた同じ日を繰り返してしまう。
本作においても彼らは幾度となく死ぬのだが、決して物理的な死というものはやってこず、ただただ痛い思いをするだけなのである。
物語の途中でナイルズはロイの家に乗り込んで話し合うのだが、帰りの渋滞に巻き込まれるのが面倒くさいというそれだけの理由で、ロイにボーガンで撃ち殺してもらうというシーンがある。
それを観たときに「そんなに命を粗末にするなよ」と思ってしまったのだが、何十万回も同じ日を繰り返している彼にとっては、死ぬということはひょっとしたら大したことでないのかもしれない。
そう考えると長く生きれば生きるほど、考え方も達観していくというのは実に合理的なのではないだろうか。

・果たしてどちらが幸せなのか・・・

本作を観ている最中にふと「このまま永遠に同じ日を繰り返すのも良いのではないか」と思ってしまった。
まだ若いナイルズはタイムループを繰り返している最中に、たくさんの女性と良い関係になっている。
またどうせ明日はやってこないと思えば、我慢などせずに自分のやりたいことを思い切り躊躇なく行うことが出来る。
一方で明日がやってくるということは、やりたくないことも我慢してこなし、一生死ぬまでお金の心配をしながら生きていかなくてはならないということなのである。
そう考えるとこのまま戻らずにいた方が幸せなのではないかと、ついつい考えてしまう。
まあ冷静になって考えれば、死ぬことすら出来ずに延々と同じ日を繰り返すということがいかに恐ろしいことかが分かるんだけどね。

・評価:★★★★☆(4点/5点満点中)

同じ日を繰り返すというのは、主人公の立場になって考えてみると物凄く恐ろしいことだと思うのだが、ナイルズは意外とそこまで重く受け止めずに、その状況を楽しんでいるように見えたのが観ているこちらの立場としてもさらっと観れたので良かった。
ただこのようなタイムループ物って落としどころがとても難しく、どのような終わり方にするかによって評価も大きく変わってくるのではないかと思う。
最終的にどうなったかはネタバレになってしまうため言えないので、気になるという方はぜひご自身の目で確かめてみてください。

・スタッフ・キャスト

【監督】
マックス・バーバコウ

【脚本】
アンディ・シアラ

【キャスト】
ナイルズ:アンディ・サムバーグ
サラ:クリスティン・ミリオティ
ロイ:J・K・シモンズ
ミスティ:メレディス・ハグナー
ハワード:ピーター・ギャラガー