#10『地雷を踏んだらサヨウナラ』
『地雷を踏んだらサヨウナラ』
・あらすじ
フリーランスの戦場カメラマンである一ノ瀬泰造(浅野忠信)は、ベトナム戦争が激化する1972年、戦場の様子を撮影するためにカンボジアにいた。
カンボジアの反政府勢力であるクメールルージュと政府軍との戦いが激しく行われている中、日々命の危険にさらされながら撮影に臨む一ノ瀬だったが、なかなか自身が思うような写真が撮れずに悩んでいた。
そんな中クメールルージュの拠点であるアンコールワットの写真を撮ることが出来れば、2万ドルもの大金が手に入ると知った一ノ瀬は、何としてでもアンコールワットの写真を撮ろうと試みるが手前で捕まり、強制的に国外追放されてしまう。
それでもどうしてもアンコールワットの写真を撮ることがあきらめきれない一ノ瀬は、一旦ベトナムに渡りカンボジアへ入国しようと試みるのだが、果たして無事にアンコールワットの写真を撮ることが出来るのだろうか。
・歴史に詳しくなくても大丈夫
筆者は歴史や国際情勢などに詳しくないため、ベトナム戦争を題材にした映画ということもあって、正直観る前は「内容についていけるかな」と不安であったが、一度観始めてしまうとそんなこと関係なく無知な私でもとても楽しく観ることが出来たし、非常にいい歴史の勉強にもなったと思う。
あらすじだけを観るとつい敬遠したくなってしまうなんていう人もいるかもしれないが、肩の力を抜いて観てもらえるといいかもしれない。
・熱い情熱を持った主人公
ストーリーを観ていくうちに、徐々に「なんで彼はこんな危険な目に何度も遭いながらも戦場カメラマンなんて続けるんだろう?」と疑問が生じてくる。
滞在先のプノンペンではわが子のように可愛がる子供たちが空爆の被害に遭うし、ベトナムでは大切な仲間が銃弾を胸に受けて命を落としてしまうし、自身だって頭を撃たれるも奇跡的にヘルメットを2重にかぶっていたおかげで難を逃れることが出来たという経験を持っている。
自分だったらわざわざそんな危険なところへなんて行きたくないと思ってしまうのだが、こういう人たちは我々一般人には到底理解することが出来ない熱い情熱を胸の内に秘めており、それに基づいて行動しているのであろう。
海外の戦争に傭兵として参加する人たちもそうであるが、自分の命を投げ出してまで抑えきれない情熱があるというのはある意味うらやましいことである。(自分はそこまで出来ないけどね)
・評価:★★★★★(5点/5点満点中)
題材が題材なだけになかなか観るのに躊躇したが、観始めてしまうとサクサクとストーリーが展開していき、思っていた以上にリラックスして観ることが出来た。(途中かなり痛ましいシーンはあったが・・・)
また主演を務めた浅野忠信の演技がとても素晴らしく、見事に熱い情熱を持った男一ノ瀬泰造になりきっていたのも本作を観る上においては大きなポイントであると言えるだろう。
「こういう映画はちょっと・・・」などと敬遠している方は、ぜひ騙されたと思って観てみてほしい。
スタッフ・キャスト
【監督】
五十嵐匠
【脚本】
丸内敏治、五十嵐匠
【原作】
【キャスト】
一ノ瀬泰造:浅野忠信
ロックルー:ソン:ダラカチャン
ティム・ヒル:ロバート・スレイター
マダム:ペン・ファン
一ノ瀬清二:川津祐介
一ノ瀬信子:市毛良枝
一ノ瀬淑乃:羽田美智子
レ・ファン:ボ・ソンフン
一ノ瀬紀子:三輝みきこ
一ノ瀬久美子:山田咲那
松山:矢島健一
チャンナ:ピンヨウ・ジェーンソンブーン
ソッタ:オーパ:ジェーンソンブーン