#2『エッシャー通りの赤いポスト』

・あらすじ

カリスマ映画監督である小林正（山岡竜弘）が新作映画『仮面』を制作するにあたり、キャストを一般素人から応募するというところから始まる。
そんなまたとないチャンスに、個性豊かな面々がそれぞれの思いを込めてエッシャー通りにある赤いポストに応募用紙を次々に投函していく。
浴衣姿でお芝居をする女性劇団員5人組、小林正監督を愛してやまず「小林監督心中クラブ」を結成し日々小林正監督を追い求め続ける白服の女性5人組、役者志望だった旦那を亡くし今回の募集をきっかけに旦那の遺志を継ごうとする未亡人、父親から性的虐待を受けながらも恋愛感情を持ち続けていた狂気に満ちた謎の女などなど、普通に生活していたら絶対に出会わないような強烈なキャラクターたちがオーディション会場に集まっていく。
はたして誰が選ばれるのか？そしてどのようなストーリーが待っているのか？

・監督・脚本は園子温

監督・脚本は『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』など話題作でメガホンを取った園子温である。
私自身園子温監督の作品は今まで何作か観てきたけど、正直言ってあまり好きになれなかった。
『HAZARD』は好きな俳優であるオダギリジョーが出ていたので観たけれど内容が中途半端な感じがしてあまり好きではなかったし、『冷たい熱帯魚』は暗い雰囲気と暴力的でグロイ表現に耐えられなくなり途中で観るのをやめてしまったし、『希望の国』も全体的に暗くて重苦しい感じがしてあまり好きではなかった。

・『エッシャー通りの赤いポスト』は好き嫌いが分かれるか？

ということで気を取り直して今回この作品を観てみたけれど、やっぱりあまり好きにはなれなかったというのが正直な感想である。
なんというか、みんな「演技に命かけてます」というような気合の入った演技が、映画素人である私には少し重すぎるというか、観ていて少し引いてしまった。
普通に会話をしていて現実世界にそんなリアクションしたり、そんなセリフいう人いる？っていうのがやたら気になってしまい、内容があまり頭に入ってこないんだよね。
個人的には浅野忠信みたいなさらっとした自然な演技が好きなので、自分には向いていないなと感じてしまった。
ストーリーとか設定とかに関して言うと、きっと悪くないんだろうけどだからと言ってものすごく良いわけでもないため、観ていてちょっとつらいという気持ちが勝ってしまったというのが本音である。
もちろんこれは私個人の感想であり、好き嫌いもあるためそのような演技が好きという方にはひょっとしたらはまる作品なのかもしれない。

・評価

★★☆☆☆（2点/5点満点中）

大変おこがましいことではあるが、残念ながら今回は星2つという評価にさせていただいた。
タイトルとジャケ写に惹かれて観てみたけれど、今回は期待外れであったと言わざるをえない。
ただし今回の収穫として挙げられるのが、未亡人切子役の「黒河内りく」という人と、狂気に満ちた女安子役の「藤丸千」という人が個人的に良かったなと感じたので、今後この2人には注目していきたいなと思った。
また余談ではあるが、オーディション中に小林正監督の着ているシャツがコロコロ変わっていたのは何か意図があってのことなのか、単純にミスなのかが気になるところである。